さっきの続き。新宿御苑の玉藻池の水面に近づいてみた。
![DSC_0104[1] DSC_0104[1]](http://linden.weblogs.jp/.a/6a0120a65ed76f970c0162ffbaab3c970d-800wi)
「生は暗く、死もまた暗い」というのは、マーラーの「大地の歌」の歌詞(原詩・李白)の言葉である。
10年ほど前、内田光子さんにシューベルトについてインタヴューさせていただいたときのこと、いつの間にか「言葉狩り」の話題になったときに、彼女が決然と言い放った言葉があった。
「目暗(めくら)とは何と美しい日本語であることか。目が暗い…こんなに美しい表現はないです」
驚く私に、内田さんはこう続けた。
「暗いは美しい、なんです」
私も、そう、思う。
だから、マーラー(と李白)が「生は暗く、死もまた暗い」と歌ったのは、「生は美しく、死もまた美しい」と同じ意味なのかもしれない。
私は昔から暗いものが好きだった。演劇がなぜ好きかといえば、全暗、すなわち闇から始まるからだ。どんな物語も、最初は闇だ。とても心が落ち着き集中できる。
ディズニーランドがなぜ非日常的に美しいか。お気づきの方も多いかと思うが、闇をうまく利用しているからである。夢と魔法の王国を演出するあの園内の照明は、ところどころかなり暗い。街灯ひとつとっても、闇の余白を残しているからこそ、光は夢のように輝くのである。同じことだ。
日本の街が暗くなくなってしまったのは、いつからだろうか。80年代あたりからコンビニやドラッグストアが急速に普及しはじめてからだろうか。あの蛍光灯をびっしり天井に敷き詰めたような、昼間のような照明が、夜の街に輝くようになって、ますます人々は暗さを避け、暗さを軽蔑するようになっていったような気がする。
なぜあのように店内を明るくするようになったのだろうか。ある人はいみじくもこう答えた。
「そのほうが商品が売れるから」
閑話休題。
今日更新したネットラジオ「林田直樹のカフェフィガロ」で宣言してしまったので、きちんとここでもご報告したい。
有料メルマガを始めることにした。
林田直樹の「よく聴く、よく観る、よく読む」
http://www.mag2.com/m/0001396250.html
ツイッターでもブログでもフェイスブックでも書けなかったこと、
ネットラジオでも話せないようなこと、
すべてじっくり書く場にしていきたいと思う。
役に立つクラシック音楽の情報も入れていきたいと思う。
どんなふうに役に立つかというと、私が親しい友人にだけ教えるような感じのニュアンスを含める、といえばご理解いただけるだろうか。
また、今回の有料メルマガでは「できるだけきちんと答える」というのも、ひとつの大きな方針である。
実は最初友人から有料メルマガの誘いを受けたときは、まったく気乗りしなかったのだが、最近になって考え直したのである。
私のようなフリーランスの人間にとって、雑誌などに原稿を書いたり、番組でしゃべったりという仕事は、当たり前の話だが編集者やプロデューサーから注文を受けるからこそ成立するものであった。
だから、出版業界、放送業界、そして私の場合は音楽業界が、最大のクライアントだったわけだ。
だが、有料メルマガは違う。「読者」が、直接にして最大のクライアントなのである。そこが面白いと思ったのだ。
どちらがよいとは一概に言えないだろう。だが、これだけは言える。つまりフリーランスの人間にとって、直接読者をクライアントとすることが、どれほど緊張感と興奮を伴う新しいタイプの仕事であるか、ということだ。
初めてのことなので、不慣れなことも多いかもしれないが、とにかく挑戦していきたいと思う。たとえ読者が数人であったとしても、その数人のことを思いながら、書いていくくらいの覚悟である。多少プライヴェートなことも入ってくると思う。
最初の1ヶ月はお試しで無料なので、気が向いたら登録していただければうれしい。もちろんいつでも退会可能である。